2011年12月19日

ジェリコ

 ディーン・マーティンが冷酷な悪役を演じた西部劇。西部の町ジェリコを牛耳る元・保安官とその部下たちに、流れ者のギャンブラーが挑む。
 マーティンの「居るだけでスターの貫禄」は衰えておらず、相手役のG・ペパードの存在感がほとんど無いくらい。が、やはり馴れない悪役は居心地が悪いらしく、ワル度がいまひとつ足らない。対するペパードも、最初はいざこざに関わりたくないという立場を取るので、これまた前半は盛り上がらない。
 クライマックスは冗漫だが、ラストの1対1の対決は唯一盛り上がる。異色西部劇としては記憶にとどめておいても良い。

深夜放送にて鑑賞
監督 アーノルド・レイヴェン
ディーン・マーティン(羽佐間道夫)/ジョージ・ペパード(阪脩)/ジーン・シモンズ(来宮良子)

映像の抜粋↓
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2011年12月16日

死への逃避行

 1001回目には、一番大切な作品を取り上げる。ネタバレ全開なのでご注意。
 本作は、マーク・ベルム原作「氷の接吻」の最初の映画化。ユアン・マクレガー主演の『氷の接吻』は、原作と『死への逃避行』の両方からオイシイ要素を取り入れながら凡作に終わったが、『死への逃避行』はフランス映画史に残る大傑作である(評論家からは無視されているけどね)。
 富豪の息子の恋人の素性調査を依頼された老探偵が、その女性に自分の亡き娘の姿を重ねる。が、その女性は金持ちを殺しては逃避行を続ける殺人鬼だった、というストーリー。
 オープニングは、娘の小学校の集合写真を見ながら、離婚した妻と会話する主人公。写真の中から亡き娘を当てなければならないのだが、仕事にかまけて家族を省みなかった罰(恐らく、娘の葬儀にも出席していない)として、そのチャンスは年に一度だけ。今年もまたハズしてしまうのだが、短い時間で主人公がこれまでの人生に深く後悔している様を観客に訴える描写が凄い。主人公はがっかりした顔すら見せないが、その哀しみはどうしようもなく伝わってくる。「鷹の目」と呼ばれる凄腕の探偵なのに、家庭生活はダメダメといううらぶれ感もハードボイルドしていて良い。
 しだいに殺人女を娘と同一視し、彼女の犯罪を影で助けるようになる主人公の心理変化の過程も、破綻無く描けている。娘(=殺人女)に接近してきた盲目の男を、お前は娘にふさわしくないと道路に押し出して車にひき殺させてしまう超展開。もう引き返せない「やっちまった」感を観客は感じるが、主人公はそろそろ精神に異常をきたしはじめているので、涼しい顔。観ている側は、しだいに居心地の悪い白昼夢の世界に誘われる。
 映画はいつの間にか、スリリングなサスペンスから、しだいに奇妙なラブストーリーに変わってゆき、ついに主人公と殺人女は対面する。が、殺人女は主人公を撃つ。所詮、赤の他人であり、主人公の想いなど、ほんのカケラも殺人女に伝わっていないという、当たり前の現実感。主人公に感情移入していた観客を気持ちよくノックアウトする展開がまた痛快。
 が、女の銃は主人公が持っていたもので、あらかじめ空砲に入れ替えていたものだった。「悪い子にはおしおきをしなければ」と、いまだに夢から覚めない主人公は、殺人女を追い詰めてゆく。この時点で主人公の思考は完全に壊れてしまっている。ほとんど悪夢の迷宮だが、『未来世紀ブラジル』並みに凄いものを観せられているという衝撃に襲われる。
 すべてが終わった後、再び娘の集合写真を見つめる主人公。殺人女が死んだことで、ようやく自分の娘の死を受け入れた主人公は、写真の中の世界へ入ってゆく。これは主人公が死んだという暗喩だろう。
 最初に観たのは、テレビ東京の深夜だった。あまりの衝撃と面白さに、その後年に1回は観ていた。が、6年前に娘が生まれてからは観ていない。今観ると、主人公の娘への思いが以前とは違った形で自分に訴えかけてくるような気がして、何となく恐ろしい。まあ、いつかは観るんだろうけどね。
 あと、この作品は絶対に吹き替えで観たほうが良い。主人公の探偵を朴訥に演じる吉水慶の演技がすばらしいので。でもHDマスターでなければ放送されない“デジタル化”時代では、二度と吹き替え版は陽の目をみないだろう。

深夜放送にて鑑賞 
監督 クロード・ミレール
ミシェル・セロー(吉水慶)/イザベル・アジャーニ(土井美加)

映像の抜粋↓
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2011年12月14日

サブウェイ・パニック

 地下鉄ハイジャックを描いた異色のサスペンス。地下鉄を乗っ取ったグループが、乗客を人質に身代金を要求。鉄道公安官と緊迫の交渉を繰り広げるが…というストーリー。
 まごうことない傑作。地下鉄をハイジャックするまでのスタイリッシュな展開、犯人グループの緻密な計画、そしてクライマックスは、まってましたの地下鉄大暴走で、全編飽きる暇すら与えない娯楽映画の見本となっている。
 難を言えば、前半がユーモラスな描写が多く、多少緊迫感を欠く点か。が、しだいに冷酷さを増してゆくハイジャック犯のリーダーや、それに対処する公安官の描き方が上手く、面白さを盛り上げる。
 ラストで一人逃げ延びたハイジャック犯を、ある事実から見破るオチも秀逸。

1980年5月12日 TBS「月曜ロードショー」にて鑑賞
監督 ジョセフ・サージェント
ウォルター・マッソー(富田耕生)/ロバート・ショウ(中村正)/マーティン・バルサム(緑川稔)/若本規夫

予告編↓
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2011年11月25日

地震列島

 東京を襲う大地震を描くパニック・ムービー。直下型の大型地震が間もなく起こると予測した地質学者が、周囲に相手にされないので不倫していると、本当に地震が起こっててんやわんやする。それだけ。
 まず、地震までのドラマが長すぎ。じわじわと迫り来る地震の兆候を丁寧に描くのではなく、不倫ドラマがダラダラ続くのはいかがなものか。地震の特撮は、中野昭慶だけあってさすがだが、一部『ノストラダムスの大予言』のパニック・シーンが流用されているように見えたのは、気のせいだろうか。
 大地震の後は、地下に閉じ込められた主人公と、地上でうろうろする妻の描写に集中し、面白味に欠く。水位があがって絶体絶命の地下で、漏れるガスに引火させて壁を爆発させようとするアイディアは良いが、そこに至るドラマがまたダラダラ。おまけに、主人公がライターを持っていることに気付くのが遅いよ! 地上では、炎上するマンションを消化するため、ルポライターが屋上の貯水槽にコードをひっかけ落雷・爆発させるが、その直後に雨が降るので意味がない… なんだ、この脚本は?
 ラストで主人公が殉死しても、数多くの疑問点がひっかかって感動しない。チャールトン・ヘストン主演の『大地震』もトンデモ大作だったが、こちらは地震後の道徳観の無くなった人間模様を描く分、本作よりは断然面白い。

1982年11月1日 TBS「月曜ロードショー」にて鑑賞
監督 大森健次郎
勝野洋/永島敏行/多岐川裕美/松尾嘉代
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2011年11月13日

猿の惑星・征服

 公開中の『猿の惑星:創世記』のオリジナルで、シリーズ第4作。前作のラスト、すり替えにより生き残った未来猿の赤ん坊が、やがて猿のリーダーとなり、地球を征服するまでを描く。
 冒頭から、人間大の猿たちの登場、主人公の喋れる猿マイロの超能力の説明がほとんど無く、メリハリの無い演出も手伝って、間の抜けた印象。映像のチープさも目立つが、製作の20世紀FOXは、当時まったく資金力が無く、本作のロケのほとんどはFOXビルの周辺で行われていたという。
 ほとんど自主制作映画のような映像が続くが、クライマックスの暴動シーンは大迫力で、予算の9割はここに割いたのではと思うほど。こういったところは、腐ってもメジャー・スタジオですな。

深夜放送にて鑑賞
監督 J・リー・トンプソン
ロディ・マクドウォール(近石真介)/リカルド・モンタルバン(中村正)/ドン・マレー(田口計)/ハリー・ローデス(小林清志)/セヴァン・ダーデン(千葉耕市)

予告編↓
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2011年11月10日

『ジョン・レノン,ニューヨーク』DVD発売!

今年夏に公開された『ジョン・レノン,ニューヨーク』が、早くもDVDで登場です! 11月9日発売で、劇場パンフレットよりさらに濃い情報が満載の32Pブックレットもついています。

lennon.jpg


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2011年11月08日

スターマン2/リターン

 ハートウォーミング・SF『スターマン』の完全続編で、TVシリーズのパイロット版。映画版で宇宙へ戻ったエイリアンが、地球にいる息子に会うために再びやって来る。が、母親は蒸発しており、息子は孤児院に入っていた。息子を連れ出したエイリアンは、息子に反発されつつも旅を続け、親子の愛を深めてゆくというストーリー。
 TVということで、映画版よりもっとベタな展開。二人が行く先々で人々を幸せにしてゆく様は、メリケン製にしては珍しく、愛情と幸福に正面から挑んでいる。ほのぼのとしたヒューマンドラマにも好感が持てる。主演のR・ヘイズの感情表現は、映画版のジェフ・ブリッジスよりも良い。

1990年2月25日 テレビ朝日「日曜洋画劇場」にて鑑賞
監督 チャールズ・S・デュビン
ロバート・ヘイズ(安原義人)/C・B・バーンズ(草尾毅)/マイケル・キャヴァノー(池田勝)/アル・ラッシオ(富田耕生)/リック・ハースト(羽佐間道夫)/クリスティーン・ヒーリー(弥永和子)

映像の抜粋↓
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2011年10月25日

スーパーマン III/電子の要塞

 シリーズ3作目。どこをどう間違ったか、ヒロイック・ファンタジーから完全なドタバタ・コメディにトランスフォーム。シリーズ中で最も狂った作品だが、個人的には一番好き。
 企業の給料の1セント以下の端数を集めて設けた黒人のSEが、世界を支配しようともくろむ企業家に目をつけられ、スーパー・コンピュータの開発に協力させられる。スーパーマンに野望を邪魔された企業家は、クリプトナイトで彼を骨抜きにし、その結果、悪のドッペルゲンガー・スーパーマンが生まれてしまう…というストーリー。
 オープニングのドミノ倒し形式のズッコケ・ギャグは、本作で一番面白い。まるでドリフのコントで、あまりにベタベタの泥臭さに笑わざるを得ない。クリプトナイトで悪人化したスーパーマンが、小学生のイタズラのような悪さを繰り返すのも、ある意味凄い。ロイス・レインも完全な脇役扱い。過去2作品でスーパーマンのファンになった観客にとっては、全編嫌がらせのような作品である。だが、この確信犯的な意地悪が、観ているうちに快感になってくるから不思議。「ダメなものをダメなものとして観る」面白さとでも言うのだろうか。
 吹き替え的には、R・ヴォーンをちゃんと矢島正明が担当しているので、それだけで価値はある。

1985年10月 テレビ朝日「日曜洋画劇場」にて鑑賞
監督 リチャード・レスター
クリストファー・リーヴ(佐々木功)/リチャード・プライアー(樋浦勉)/ロバート・ヴォーン(矢島正明)/アネット・オトゥール(鈴木弘子)/マーゴット・キダー(平野文)/パメラ・スティーヴンソン(松金よね子)/ジャッキー・クーパー(近石慎介)/来宮良子、堀勝之祐

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2011年10月24日

スーパーマン II/冒険篇

 シリーズ第2作。前作でクリプトン星を追放された三悪人が、スーパーマンが宇宙に捨てた水爆により自由の身となり、地球にやって来るというストーリー。
 初めての地球にとまどう三悪人の姿がユーモラスで、監督R・レスターの特質が出ている名シーン。が、全体的にはスローテンポで、人畜無害ののどかさが目立つ。スーパーマンとロイスのラブ・ロマンスが盛り込まれ、その愛のためにスーパーマンが超能力を失うという描写は、ちゃんとしたドラマとして描かれているが、これが本編のコミカルさとあまりに異質で、全体のトーンを乱している。
 クライマックスは冗長だが、超能力合戦としては楽しく観れる。家族みんなで安心して観られるという意味では、良い作品。

1988年4月3日 テレビ朝日「日曜洋画劇場」にて鑑賞
監督 リチャード・レスター
クリストファー・リーヴ(佐々木功)/マーゴット・キダー(中原理恵)/ジーン・ハックマン(石田太郎)/テレンス・スタンプ(西沢利明)/サラ・ダグラス(田島令子)/ジャッキー・クーパー(近石慎介)/ネッド・ビーティ(神山卓三)/スザンナ・ヨーク(沢田敏子)/マーク・マクルーア(古谷徹)

予告編↓
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2011年10月20日

死霊の罠

 80年代ホラー・ブームが終焉にかかっていた頃に製作されたホラー。スナッフビデオの謎を追う女性レポーターとクルーたちが、ビデオの撮影が行われた廃墟で次々に惨殺されてゆくというストーリー。
 せりふの必要が無いところにせりふを入れるわ、役者は下手だわ、撮影技法も殺しの方法も、外国ホラーのパクリだわと、目の肥えたホラーファンにとっては良いところ無し。殺人鬼が、体内に潜む双子の弟に操られていたという設定はちょっと面白いが、この辺りも『バスケットケース』の応用にすぎない。
 クライマックスは撮影が下手でまるで盛り上がらず。ラストのオチに至っては、同じようなものが外国映画にはごまんとあった。脚本練り直し!
 唯一の救いは、従来の日本映画にある泥臭さが少ない点。殺し方とBGMは、ダリオ・アルジェント作品を意識しているのが分かる(といっても、本家を超えているわけではない)。体内の双子の声を「鉄腕アトム」の清水マリが演じているのは驚いた。

レンタルビデオにて鑑賞
監督 池田敏春
小野みゆき/本間優二/小林ひとみ/島田紳助/桂木文 声の出演:清水マリ/二木てる美

予告編↓
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